予防医学に基づく病気予防 / 成健研究所

成健研究所

報告8 強迫性精神障害・統合失調症

医療法人社団・一友会「ナチュラルクリニック代々木」で直接扱った患者様の臨床報告を時系列でご紹介します。

人物紹介

成健研究所

20代後半・女性の場合

報告内容

【症例】強迫性精神障害・統合失調症・アトピー性皮膚炎

幼稚園から高校を卒業するまで、他の子供たちに比べてとてもおとなしかったAさんは、いじめの対象にされることが多かったそうです。気持ちが不安になってくると、手洗い、うがい、歯磨きを繰り返しするようになりました。また、不安を抑えたくて、同一の友人に一日に五、六回も電話をかけていた。相手に迷惑ではないかという思いを抱きながらも、身体が自動的に受話器に伸びてしまうような感覚だったといいます。
高校生の頃、不登校になり、初めて病院を訪れ入院しました。その後もずっと薬物療法を続けていましたが、不安感は改善されませんでした。社会人になってからも眠りが浅く、不安が消えることはありませんでしたが、服用する薬の数だけは年々増えて、栄養療法のクリニックに駆け込む直前には、既に薬の服用は13種類を数えました。猛烈な倦怠感が押し寄せて、いよいよ働くことが困難になり、勤めていた会社を退社せざるを得なくなりました。 やがて、Aさんは自分の精神症状が薬の副作用のせいではないかと考えるようになっていましたが、これを主治医に相談しても薬が減らされることは一切ありませんでした。

【服用していた薬】
レボトミン錠 25mg べゲタミン‐A リスミー錠 2mg ベンザリン錠 5mg リーマス錠200 200mg トレドミン 2mg デプロメール錠 50mg エリーテン 5mg セラニン 5mg パンピオテン酸20% 酸化マグネシウム センノサイト錠サワイ 12mg ラキソベノン液0.75%

Aさんは、何より薬から解放されたいと願っていました。幻聴と、いつも何かに迫られているような不安と倦怠から、会社に勤めても一つの職場で長く働き続けることが出来ない悩みを抱えていました。病気を克服して、職場や社会で必要とされて、やりがいを感じ、責任ある仕事をしてみたかった。自分に自信を持ちたかったのでした。
Aさんが、まず最初に始めたのは次のサプリメントを摂ることでした。サプリメントを摂り始めたからといって、すぐに薬を断ってしまうのは大変危険です。これまでの薬を服用しながら、そして同時にサプリメントを摂り入れながら、徐々に薬を減らしていくのが理想的です。カウンセリングでは、栄養素のそれぞれの働きを学び、減薬に際しては医師の指示に従い自己判断で行わないこと、焦りを軽減することなどを、Aさんと医師、カウンセラーとで十分に話し合いました。

【摂取サプリメント】
K・リゾレシチン マルチビタミン・ミネラル ノーフラッシュナイアシン ビタミンBコンプレックス (後にGABAを追加)

二週間後のカウンセリングでのAさん。「友人から、目が活き活きしてきたね!って言われたんです。」「眠れるようになってきました。」Aさんは、前回買えなかったGABAのサプリメントを追加しました。さらに70日後には、母親が実感を語りました。「これまでは難しかった家族と本人との会話が成立するようになり、コミュニケーションをとれるようになったことがとても嬉しい。今までと違って顔つきが非常にしっかりしてきました。」
三ヵ月を経過した頃、Aさんに不安が押し寄せてきました。これまで薬とサプリメントの両方を続けているが、本当に私は回復するのだろうか?いつ頃治るのだろうか?
Aさんは、太るのが恐くてこの頃の食事は一日二回のみに控えていました。この段階でサプリメントに加え、食事のカウンセリングが必要になりました。カウンセリングで、栄養療法においてはある程度の期間を要することや、食事内容や回数についても話し合い、納得して実行してもらうように努めました。
この辺りから一年を超える頃まで、Aさんは、度々サプリメントや食事療法から離れることがありました。「本当に治るのか?」という不安がAさんを苦しめました。すでに食事療法によって、家の中の仕事が出来るようになってきて、自分でもかなり回復していると実感がありましたが、時々Aさんを襲う不安から、自らサプリメントの摂取をやめては後悔し、また一から摂りなおすことを繰り返していました。サプリメントは症状の回復に伴って徐々に減らしながら続けていく必要があります。まだ脳細胞や脳内ホルモンの調整が完全に復活していない状態で全てをやめてしまうのでは、それまでの努力とお金が水の泡になってしまいます。
また、自分の判断で突然、全ての薬の服用を一切断ってしまったこともありました。その反動で、全く食欲がなくなり、動けなくなり、まるで死んだような状態になってしまったことも。食事療法では、神経組織が正常化していく過程に合わせて、減薬は徐々に行わなければなりません。患者の判断で、長年服用してきた十数種類もの薬をいきなり断つことは非常に危険な行為です。
Aさんが、もし、ずっと迷いなく指示通りに食事療法を続けてさえいれば、より早く回復したでしょう。
やがて1年3ケ月が経過する頃には、10年間も服用してきた大量の薬が4種類にも減っていました。体調は極めて良好でした。働きたいという意欲が沸いてきました。事務職の求職案内を見て、履歴書を送り応募しました。
栄養療法を始めてから、1年4ヶ月。一切の服薬はなくなりました。事務のアルバイトに採用され、嬉しくてはつらつと働くことが出来ました。夜はぐっすり寝られます。精神状態は落ち着いていて、安らかで、やる気にあふれています。そして、Aさんはその8ヵ月後には正社員としての採用が決まったのです。

Aさんのように、始めは少量だった安定剤が次第に効かなくなったり、安定剤の副作用を抑えるための薬が足されたりするうちに、いつしか服薬が大量になってしまった患者さんは少なくないようです。中でも心の病を抱える患者さんにはこの傾向が多いようです。薬は、複数を同時に服用すると副作用が出やすくなったり、増幅されたりすることがあります。特に、3種類以上を同時に服用すると重大な副作用の起こる危険性が増すと言われています。
副作用の中には、頭痛・倦怠などの身体症状のほかに、自殺願望、自殺企図、幻覚などが起こることもあり、事件や事故につながる可能性も否定できません。薬は病気を治すための絶対的な存在ではありません。

栄養療法を行う「ナチュラルクリニック代々木」では、Aさんのように徐々に薬を減らしていくうちに、非常に体調が良くなり、仕事に復帰できた患者さまの例は数えきれないほどあります。